また溜めてしまったので、簡単に。新書とか軽い本が多いなぁ。
■砂上の同盟~米軍再編が明かす嘘(屋良朝博、沖縄タイムス社)★★★★☆
普天間基地移設問題を考えるうえで、いちおう在沖米海兵隊の事情を知っておこうかなと思って購入。誤植を散見するのが残念だけど、それを割り引くとしても、これは良い本だと思います。海兵隊(に限らないのかもしれないけど)の基地が「いま」沖縄にあるという既成事実を基準にして、この立地が最も合理的であるかのような論をよく目にしますが、歴史的には、他の県に居られなくなって「しかたなく」普天間に移転してきたのだ、という事情はあまり知られていないように思います。
■理性の限界--不可能性、不確定性、不完全性(高橋昌一郎、講談社現代新書)★★★☆☆
架空のシンポジウムという形式をとっていて、「科学史家」とか「論理実証主義者」とか「普通の会社員」とか「運動選手」とか、いろんな登場人物が議論するのだけど、なんかその登場のさせ方がすごくご都合主義的に映ります。著者自身、あとがきで「いったい何人登場させたのか、自分でも分からない」という趣旨のことを書いているくらい。
第一章「選択の限界」第二章「科学の限界」は既読感があるくらい平易なのに(特に第二章)、ゲーデル等を論じた第三章「知識の限界」になると妙に難解。察するに、前二章は著者の専門領域ではないから、「誰かに解説してもらったもの」がベースになっており、いったん著者のなかで咀嚼されているのだが、第三章は著者の専門領域だから、つい筆に力が入ってしまった、ということなのだと思います。いや、単に私自身が第三章の分野に弱いというだけなのかもしれないけど(笑)
あと、この本のなかでは「カント主義者」は嘲笑とまでは言わずとも揶揄の対象にしかなっていないようで、「ま、そのお話は後でうかがうとして……」といった感じで軽くあしらわれているのだけど、通して読んでみて、結局のところカントが考えたようなことが重要なんじゃないの、という気がしました。もちろんこれは私の出自ゆえの感想かもしれませんが。
■電波利権(池田信夫、新潮新書)★★★☆☆
仕事の参考になるかなと思って読みました。結局役には立たなかったのだけど、なかなか面白かったです。2006年の本で、こうしたジャンルの宿命か、すでに古びているような部分があるのは惜しいけど、それでも、著者が示している方向性は依然として有効なのではないか、という気がします。
■日米同盟の正体~迷走する安全保障(孫崎享、講談社現代新書)★★★☆☆
これもやはり普天間基地移設問題について考える資料として読みました。著者は外務省高官から防衛大学教授という経歴。こういう、自分とは対極的な立場にいる人が、同じとまでは言わずともよく似た結論に達していると何だか心強くなります。いろいろアラもありそうな本だが、興味深い点も多かったです。
■「坂の上の雲」と日本人(関川夏央、新潮文庫)★★★★☆
『坂の上の雲』を読んだらこれも読もう、というか、この本を読みたいがために『坂の上の雲』を読んだような気もします。「しかしよい時代がよいものを次代に引き継ぐとは限らないのです」という一節に感銘を受けました(考えてみれば当たり前のことなのかもしれないけど)。
■芭蕉布~普久原恒勇が語る沖縄・島の音と光(普久原恒勇・磯田浩一郎、ボーダーインク)★★★★☆
戦後、幾多の「新唄」ヒット曲を作曲した普久原恒勇への聞き書きを元にした本。かなり面白かったです。いわゆる「普久原メロディ」には食傷気味のところもありますが、この本を読んで、ちょっと改めて聴いてみよう/歌ってみようという気になりました。アンチ普久原メロディの人にも読んでもらいたい。「[豊年音頭について]古いのか新しいのかわからなくなったら、それは本物でしょう。作者の名がちらほらあるようなものは、まだ作品とは言えないですね。作者が誰かわからなくなったときに、その作品は生命を得ると思います」という一節が印象的でした。
■東京大学応援部物語(最相葉月、新潮文庫)★★★★☆
応援部/応援団というのは、絶対に自分とは相容れない世界・価値観だろうなぁと思うし、それはこの本を読んでも変わらないのだけど、それでもかなり面白く読めました。それどころか、泣けました。他の有名大学に比べて「一勝」の価値が限りなく大きい(笑)東大の応援部だからこそ、「何のために応援するのか」「応援とは何なのか」という部分が純粋に追求されている感じ。三浦しをんの解説もよかったです。近々、一度神宮球場にでも足を運んでみるかとさえ思いました。
■人生2割がちょうどいい(岡康道・小田嶋隆、講談社)★★★★☆
これは面白いです。高校の同級生である元電通のクリエイターとエッセイストの対談。非常にフマジメな本で無駄話も多いのだけど、もう一度読み返したいくらいの読後感があります(どうせすぐ読めるんだし)。
■マラソンランナー(後藤正治、文春新書)★★★☆☆
金栗四三から高橋尚子に至る日本(国籍)の男女マラソンランナー列伝。一番レースを覚えているのはやはり瀬古利彦だったけど、底辺ジョガーとして一番勇気づけられるのは、やっぱりQちゃんこと高橋尚子だなあ。直接一章を割いているわけではないのだけど、「円谷幸吉」という存在が通奏低音になっているという構成もよかった。
……今は、『翻訳の基本~原文どおりに日本語に』という本を読んでいます。その後『島唄レコード百花繚乱』『やんごとなき読者』『遠い声』という感じで続く予定。
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| 2010年02月12日 18:14
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とりあえず、お薦めの本をまとめておきます。当ブログでの評価で五つ星(一部、四つ星)の本です。
●夜のピクニック(恩田陸、新潮文庫)
お涙ちょうだいの青春モノ、と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、良くできています。こういうのに弱くなるってのが年を取るってことなのだろうか(汗)
●くまとやまねこ(湯本香樹美・ぶん、酒井駒子・え、河出書房新社)
くまが好きな人と、ねこが好きな人と、音楽が好きな人は、読むべきだと思います。
●福翁自伝(福沢諭吉、岩波文庫)
なんというか、邪道な読み方でしょうが、単なるエンターテイメントとして楽しめる気がします。
●経済成長という病(平川克美、講談社現代新書)
一つのパラダイムシフトを提示している本だと思います。この本自体は政権交代以前に書かれているのですが、政権交代を挟んで2009年に前景化したあれこれの問題について、確かな手応えのある一つのアプローチを示唆してくれる。
●魂とは何か(池田晶子、トラストビュー)
自分が哲学科出身だったことを何かにつけて思い出す一年でした。この本も、そうした傾向を象徴する一冊。
●世界の共同主観的存在構造(廣松渉、講談社学術文庫)
大学時代にこの本を読んでいたら、大学から抜け出せなくなっていたかもしれません。私と同じ志向を持つ人にのみお勧め。つまり、あんまりお勧めではありません(笑)
●墨東綺譚(永井荷風、新潮文庫)
卓抜な文章の力。そういえば「断腸亭日乗」も読まないといけないなぁ。
●日本辺境論(内田樹、新潮新書)
なんというか、書いてあることは全然違うのだけど、盟友・平川氏の前掲書とタッグを組んでいるような感じがあります。いずれも「この本に書いてあるから、これが正しい」というのではなく(実際、ツッコミどころはたくさんあるらしいです、知らないけど)、「あの本のような考え方をすると、この問題はどう見えてくるのか」という活かし方ができる本である、という意味で。
●眠れなくなる宇宙のはなし(佐藤勝彦、宝島社)
星空を見上げたことのある人であれば、たいていどんな人にでもお勧めできる本。図書館で借りたのですが、結局2冊買ってしまいました(1冊はプレゼント用)。
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| 2010年01月05日 08:50
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■アフリカの今を知ろう(山田肖子、岩波ジュニア新書)★★★☆☆
なかなか悪くないです。ジュニア新書だけど、大人向けの良書。「国家」や「市場」といった、今の日本でごく当然のこと・ものとして受け入れられている概念を相対化する、ということ。
■はじめまして数学(1) 自然数を追え、無限を掴まえろ(吉田武、幻冬舎文庫)★★☆☆☆
先に紹介した「はやぶさ」と同じ著者(本来は数学が専門)。う~ん、悪くはないのだけど、なんかムダが多い気がする。図書館で借りるくらいで良さそう。
■早稲田ラグビー 進化への闘争(直江光信、講談社)★★★☆☆
2008~09年度の早稲田大学ラグビー部「豊田組」のシーズン後半を追った本。こういう本につきものだが、早稲田ラグビーファン、あるいは少なくとも大学ラグビーファンでなければ面白く読めないように思う。もちろん私には面白かったですが。
■マラソンは毎日走っても完走できないー「ゆっくり」「速く」「長く」で目指す42.195キロ(小出義雄、角川SSC新書)★★★★☆
「実用書」はここには挙げないつもりなのですが、これはわりとお勧めなのでご紹介。人並みに働いて、人並み以上に酒飲んだり趣味を楽しんだりしていると、なかなか月200km以上は走り込めないのですが、この本の練習法は、なんかそういう自分にも合っているように思います。とはいえ、フルマラソン完走するだけならここまでやらんでも、という気はするのですが。
■風が強く吹いている(三浦しをん、新潮文庫)★★★★☆
しばらく前に、ちょっとした謝礼で500円の図書カードをもらったので、それを使って購入。箱根駅伝に備えて読んでしまおうと(笑) 「陸上シロウトが箱根駅伝をめざす」という設定であるのは知っていたのですが、陸上競技未経験者であるというだけであって、それなりにスポーツ経験がある連中が中心なんですよね。ちょっとネタバレになるんですが、最初に計測した5000mタイムトライアルのタイムを見ると、10名中、私より遅いのは1人しかいない(笑) 「なんだよスポーツエリートじゃん」などと不満を感じつつ読み進めました。が、さすがにレースシーンになると読ませます。私なんぞとはレベルの違う世界なんですが、それでも、長距離走の本質を突いているのではないかと思わせる内容でした(「オマエに長距離走の本質が分かるのか?」と言われると困るんですが・笑)。箱根駅伝前(あるいは直後?)に読む、というのはなかなか良いのではないかという気がします。ちなみに家人は箱根駅伝の中継をBGMのようにして読んでいました(笑)
■坂の上の雲(司馬遼太郎、文春文庫)★★★★☆
ついに読み終わりました。うん、物足りない部分はあるけど(量の話ではなく)、読んで損はない作品かと。予定どおり、この後、『日本辺境論』(内田樹、新潮新書)を再読しようと思っています。あと『「坂の上の雲」と日本人』(関川夏央、文春文庫)も図書館に予約しました。
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| 2010年01月04日 17:57
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このネタをすっかり放置しておりました。
もっぱら自分の読書メモとして書いていたんですが、確か秋頃から「読書メーター」というサイトを利用するようになって、もっぱらそっちで記録していたもので……。とりあえず、短評もしくは五つ星評価のみで、主なものだけ羅列しておきます。
■整理HACKS!―1分でスッキリする整理のコツと習慣(小山 龍介、東京経済新報社) ★★★☆☆
いわゆる「ライフハック」を集めた本。前半はPC/ソフトウェア関係の話で、一部を除いて、ほとんどがすでに導入している/試したことのあるものだったので、まぁ「なるほど、そういう使い方もありか」という確認程度。でも、知らない人にはどれも有益な情報だと思います。後半は、なんだか数合わせ(「ハック」にかけて89個のネタを紹介しているので)のためのグズグズ感が溢れてきます。
■居酒屋兆治 (山口瞳、新潮文庫) ★★★☆☆
前に紹介した『東京暮らし』に出てきて気になった小説。もちろん高倉健が主演した映画が有名なのだけど(未見)、小説を読んでいても、どうしても高倉健の顔が浮かんでしょうがない感じ。もちろん、彼でハマリ役だと思いますが。
■平和構築―アフガン、東ティモールの現場から (東大作、岩波新書) ★★★★☆
軍事一辺倒ではない紛争地域への関わり方。
■自転車会議(疋田 智, 片山 右京, 今中 大介, 勝間 和代, 谷垣 禎一、PHP研究所) ★★★☆☆
面白かったはずなのだけど、今になって思うとあまり強い印象がない……。
■政治の精神 (佐々木毅、岩波新書) ★★★★☆
良書なのだけど、ちょっと詰め込みすぎというか、「ゆるむ」部分がほとんどないので、読んでいて疲れます。大学の教養課程で1年くらいかけて、この本の内容(及び取り上げられている政治思想)をじっくり学びたかった。しかし一読をお勧めします。
■時刻表に見るスイスの鉄道―こんなに違う日本とスイス (大内雅博、交通新聞社新書) ★☆☆☆☆
マニア向け……であるのは覚悟していたのだが、「なぜこういうことに関心を注ぐと楽しいのか」がまったく伝わってきませんでした。副題に「こんなに違う日本とスイス」とありますが、「こんなに違う」と紹介して面白くなるのは、「こんなに類似しているのに」という前提が必要ではないかと思います。元から違うものを「こんなに違う」と言ってもあまり意味はないような。
■沖縄幻想 (奥野 修司、新書y 219) ★☆☆☆☆
読んでいてイライラします。最も「幻想」の虜になっているのは著者自身ではないか、という気がする。基本的に沖縄という場所を消費する立場にしか立っていないし、それはそれでしかたないとして(というか人のことは言えない)、その自覚が欠けているような。
■反社会学講座 (パオロ マッツァリーノ、ちくま文庫) ★★★☆☆
ウェブでかなりの部分が読めるので、知っている話も多かったのですが、まぁまぁ楽しめます。いろいろな言説に対する著者のツッコミは、たぶんほとんどがそのまま著者自身にも反射して帰ってくるような類なのだけど、そのツッコミの入れ方そのものが一読に値するような。末尾の「努力=宝くじ」論はなかなか説得力があるように思いました。
■日本辺境論 (内田樹、新潮新書) ★★★★★
基本的に「追っかけ」なので、評価はある程度割り引いて考えてください(笑) ただ、彼の著作のなかでも、これはなかなか良かったように思います。タイトルからして自虐的なようですが、じっくり読めば、きわめて「愛国的」な著作であることが分かると思います。煎じ詰めれば、「日本は辺境の国であり、そのような存在として振る舞っているときこそ最も高いパフォーマンスを発揮できる、しかしそのように振る舞っているだけでは決して辺境からは抜け出せない、では辺境の国であることから『いいとこどり』するには、どうすればいいのか」というのが著者の問題意識である、と言えるでしょう。答えは出ているんだっけ……忘れてしまった(笑)
■眠れなくなる宇宙のはなし(佐藤勝彦、宝島社) ★★★★★
これは面白いですよ、文句なしに。天文学という切り口から、歴史を振り返ることができるという効用もある。図書館で借りたけど、これは買ってもいいかも。
■はやぶさ―不死身の探査機と宇宙研の物語 (吉田武、幻冬舎新書) ★★☆☆☆
「はやぶさ、地球帰還に望み 停止中のエンジン再利用 」という記事を読んで興味を惹かれました。「イオンエンジン」って、まるでSFの世界じゃないか、と。Wikipediaで「はやぶさ」のことを調べたら、う~ん、これだけで泣けます。というわけで、この本を読んだのだけど、「はやぶさ」の航行を叙述している部分はとても感動的なのに、科学論・文化論的な領域に話が広がっていくと、その質がガタ落ちになります。が、そういう部分こそ著者は自分の持ち味だと思っているようなので、どうにも救いがたい……。
■二〇〇二年のスロウ・ボート (古川日出男、文春文庫) ★★★★☆
村上春樹の『中国行きのスロウ・ボート』のREMIX、ということになっていて、確かに同書に限らず、村上春樹へのオマージュを感じさせる部分は端々にあるのだけど、でも、それが成功しているかどうかはさておくとしても、独立した小説として読んでもなかなか悪くないです。
以上の他は、まぁ将棋とかランニングの本など、実用書系(笑)
あと、平行して11月半ばくらいから『坂の上の雲』を読み続けています。全8巻のうち5巻まで読み終わりました。まぁこういうのは、面白くないはずがないって感じで(笑)、調子が良ければ2日で1巻くらいのペースで読めそう。
読み始めたのは、NHKのドラマに向けてと言うより(ドラマは1回目だけ観ましたが、2回目は見逃し、今後はどうするか決めていません)、以前からウチダ先生がたびたび言及していたからという理由が大きい。これを読み終わったら、上述の『日本辺境論』を読み直そうと思っています。
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| 2009年12月11日 18:33
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先週末は町田エイサーでした。今年も私が参加している「てぃだエイサー隊」は出演したんですが、私は地謡としてはお休みし、ビデオ撮影を担当しておりました。いろいろ思うところあって、この秋(あるいは年内)は出演を控えようかと思っております。後進も育てないといけないしね。いずれにせよ、自分のところの演舞をまるっきり演奏抜きで眺めるのは事実上初めてだったので、良い機会ではありました。
さて、今週末は引っ越し。前回の引っ越しのときの段ボールがようやく年末の大掃除のときになくなったというのに、再び段ボール箱を量産しているのだから、嫌になってしまいます。あんまりモノを捨てられなかったなぁ……。とはいえ、本格的に図書館を利用するようになったので、読んだ量ほど本が増えていないのと、CDのソフトケース化を相当に進めたので、多少は減量できているかも。
ところで、最近読んだ本の話とか。
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| 2009年09月15日 20:52
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というわけで読書記録。読書記録といえば「読書メーター」というサイトがなかなか面白いです(と書いたのだけど、不安定というか、サーバの能力が追いついていないみたい。今もアクセスできない)。
■岬一郎の抵抗(半村良、集英社文庫)(図書館)★★★★☆
ある作家のブログで紹介されていて興味をそそられたので読んでみました。半村良ってほとんど読んだことがなかったのだけど、日本SF大賞を受賞した作品らしい。超能力者モノですが、東京の下町の描き方が、なんだかとても良い感じで、途中まではあまりSFということを感じさせずにすんなりと入っていく感じ。最後はせつない終わり方。かなり良かったです。おすすめ。
■なぜ世界で紛争がなくならないのか(増田弘監修、講談社+α新書)(図書館)★★★★☆
これもなかなか良かったです。アラブ対イスラエル 、アメリカvs.イラク紛争、朝鮮半島危機、台湾海峡危機、歴史認識をめぐる日中危機、
現代アフリカの紛争、東ティモール紛争という章立てで、世界各地の紛争状況を分析していくんですが、基本的に「民族や宗派の違いがあるからといって、それだけで武力紛争が起きるわけではない。その背景には必ず政治権力をめぐる対立がある」というスタンスが貫かれています。そういう点で、流布している通説を相対化するにはよい本だと思います。
■墨東綺譚(永井荷風、新潮文庫)(購入)★★★★★
静養先(?)の書棚にあった「東京暮らし」という本をぱらぱらと読んでいて(実はまだこっちは読了していない)、なんだか無性にこの本が読みたくなりました。たいへん良かったです。なぜ今まで手を出さなかったのかなぁ。話そのものは他愛のない話なのだけど、文章の力というのはこういうものか、と感じ入りました。
■若い読者のための短編小説案内(村上春樹、文藝春秋)(購入というか、前から持っていた)★★★★☆
刊行当初に買ったはずですが、紹介されている作品をほとんど知らなかったので放置してあった本です。マイミクまっつーさんが読んだようなので、釣られて読んでしまいました。
取り上げられているのは、吉行淳之介「水の畔り」 、小島信夫「馬」、安岡章太郎「ガラスの靴」、庄野潤三「静物」、丸谷才一「樹影譚」、長谷川四郎「阿久正の話」の6編。いずれも戦後日本文学において「第三の新人」と呼ばれる人らしい。「らしい」というのは、私はこのへんの作家をまったくと言っていいほど読んでいなかったから。
で、これらの作品を読まずに村上春樹の文章を読んでしまっても、それはそれで楽しめそうではあるのだけど、せっかくなので、冒頭の「まずはじめに」を読んだあとは、各作品を読んでから本書の該当する章を読む、ということにしました。といっても、かなりマニアックな選び方をしているようで、おいそれと入手できない作品もあるので、基本的に全部図書館に頼ってしまいました。
実際に作品を読んでみて、「いや~ほんと妙な作品を選ぶなぁ」と思うことも一度ならずあったけど、なんだか今まで読んだことのない著者の作品にこれだけ触れる機会が得られたというのは、それだけでも、この「案内」の価値はあると思います(改めて「まずはじめに」に目をとおしてみたら、けっこう事前にしっかり作品の方を読んでおくことを勧めてますね)。春樹による作品分析は、「そうかそこまで細かく読みを入れるのか」という以外にない感じだけど、まぁいわゆる文学研究の世界では、こんなの当たり前なんだろうな……。
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| 2009年09月04日 13:51
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ここを読んでいる方はご存知のように、私の趣味といったら、まぁ酒とか読書とかそういうのは趣味というより生活に近いので措くとして、やはり唄三線とジョギングなのです。
この二つって、たとえば部活動で言えば、一方は「文化部」系で、他方は「運動部」系。インドアとアウトドアといってもいいかもしれない(唄三線は屋外でもやるけど←エイサーとか)。わりと性格の異なる組み合わせというか、いいバランスのように思っていました。声が出なくなったり耳が聞こえなくなったりしてもジョギングはできるし、足を大怪我して二度と走れなくなったとしても唄三線には影響しない。
ところが、お分かりかとは思いますが、今年の夏は両方ともダメダメでした。上に書いたような一方が決定的に損なわれるような深刻な状況ではないにもかかわらず、「咳き込む」という些細な理由で歌えないし走れない。両方とも完璧に潰れてしまったのです。やれやれ、意外に脆弱な組み合わせだったのか……。
とはいえ、この二つの趣味について「いい組み合わせだったな」と思うことはたびたびあります。別に「走ることによって肺活量が増えて歌うときに息が続くようになる」とか、そういう直接的な効果ではないんですが(あるいはそういうのもあるかもしれないけど)、何となく「自分の身体に対する意識が活性化される」という意味で、互いに良い影響が出ているような気がします。呼吸はもちろん、姿勢とか重心とかバランス、そういうことです。
さて、唐突ですが、ここで一冊、最近読んだ本の話とか。
■アレクサンダー・テクニーク~やりたいことを実現できる〈自分〉になる10のレッスン
(小野ひとみ、春秋社)(図書館)★★★☆☆
ええと、副題がひどいな、と(笑) こういういかにも自己啓発本的なものはなるべく手を出さないようにしています(とはいえウチダ先生の本とか、実質的に自己啓発本スレスレのような気がしないでもないが)。それなのになぜ読んでみようと思ったかというと、唄三線仲間、というか一歩も二歩も先んじているので姉弟子と呼ばせてもらおう、の水島さんが高く評価していたからであり、と思ったら、札幌のK林先生も熱心に読まれているらしい。ううむ。しかも、前書きと巻末の対談の相手は鴻上尚史ではないか。これはどうしたって読まずにいられまい。
……読んでみました。面白かったです。なんか、「こうしなきゃいけない」「こうするのが正しい」と強制/矯正するのではなく、「実はこうなっているだろうから、感じてみてもいいのでは?」というスタンスであるのが気楽(?)です。読み始めは、なんか身心二元論くさくて嫌だなぁと思ったのだけど、それは表現の問題であって、実際にはそうでもない。I know(知っている)からI understand(分かる)へ、という展開にはうなづけるものがあります。
で、そもそもこの考え方の創始者であるアレクサンダーさんはもともと舞台俳優だし、この本の著者も声楽家だし、こんな自己啓発本的な副題がついているにもかかわらず、源泉としては基本的にステージパフォーマンス系だな、と。でも、この本を読了する前に家の近所を走っていたら、ふと、ああ、アレは走るときにも通じるものなのだろうな、という気がしたのです。で、上に書いたようなことを改めて思った、と。速く走れるようにはならないだろうけど、少しは楽になるかな、と。
というわけでこの本はなかなか良かったのですが、なんで★三つなのかというと、読んでいるだけではI understandにはならないから。まぁしょうがないですね。活字だけで伝えるには限界がある。
と、思ったら、さすがは東京。体験できる場がいくらでもあるんですな。とりあえずこの秋、手近なカルチャースクールで3回シリーズの講座があるので行ってみようかと思っています。考えてみたら、唄三線も元はと言えばカルチャースクールから始まった縁なんだよな~。
他にも読んだ本はけっこうあるのだけど(何しろ唄三線もジョギングもできなかったので)、それはまた改めて。
タグ:唄三線, 読んだ本, 走る
| 2009年09月03日 12:41
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